今週のお題「名作」
今回紹介するのは手塚治虫の「百物語」です。
切腹を命じられ、死ぬはずだった武士が悪魔に魂を売る契約を結ぶことで命を救われ、
さらに願い事まで叶えてくれるというものです。
主人公は天下を取ることと世界1の美女を望みます。
しかし武士のくせに根性のない情けない男で、
悪魔の少女にも説教されてしまいます。
「新しい人生をせっかくあなたにあげたのよ!!どうして心を入れ替えないの?そんな気持ちでは天下も取れないわ。努力して今のあなたにふさわしい人間にならなきゃ期待もてないわ。」
と言われて悪魔の少女に殴られてから心を入れ替えるのです。
その後3年間修業積み、その後小さい国に仕えてやがて一国一城の主になります。
しかしクーデターを起こされまた切腹することになります。
最後のセリフが好きですね。
「スダマ私が満足したいといったのは欲が大きいからじゃない。人にはいろんな生き方がある。欲を言えばキリがない。そりゃ天下を取るのが満足な人間もいるだろうよ。だが、つまりは、せいいっぱい人間が生きてこられたかどうかってことなんだ・・・」
そして切腹のときに主人公は言い残す言葉もなく満足して死にます。
悪魔の少女は主人公の魂をとる予定だったけど、心変わりをし、魂を離して天国に行くというお話です。
人と比べて大きい目標を持つことなんかどうでもいいことなんだと思います。
自分にとっての夢を見つけて、それを実現に移していくこと。
それがたいせつなんでしょう。
例えば親類の莫大な遺産が手元に転がってきたとしても、それは本当の意味での成功とは言えない。
自分で望み、計画し、それを手に入れること。目的を達成したそのとき全身に充実感がみなぎるはずです。
実際手塚治虫はゲーテが好きだったそうですし、ファウストの漫画も描いています。